そこには補習でもあったのか、夏休みだというのに制服の格好をした可愛らしい女の子が立っていた。
「……友梨」
霧谷が彼女の名前を呼んだ時、忘れられない相手とは彼女のことだとすぐにわかった。
「瑞樹……」
相手が霧谷だとわかった途端、涙ぐんだ彼女は、再び霧谷の名前を呼んだ……かと思えば。
私と目が合い、さらには手をつないでいるのを見て咄嗟に俯いた。
私はすぐに手を離して誤解を解こうと思ったけれど、その前に彼女が口を開く。
「あ、ごめんなさい……邪魔するつもりはなくて」
絶対に勘違いさせてしまった。
呼び止める前に……私ではなく霧谷が、彼女を呼び止める前に背をつけられ、去ってしまう。
迷いのある表情で、遠ざかる後ろ姿を見つめる霧谷。
本当は行って欲しくない。
このまま手をつないで、隣にいることができたらどれほど幸せだろうと思った。
けれど……今、この手を離さないと霧谷は一生過去に縛られたままで。
それは彼女も同様で、あの涙ぐむ表情がそれを表していた。



