愛恋のキス




 最初と後では緊張感も違うし、素の自分が出ているのかもしれない。


「……動物が可愛いせい」


 けれど恥ずかしくて認められるわけがない。
 その代わり、いつもより隣にいる霧谷に寄り添ってみせる。

 すぐ相手にも伝わったようで、笑われながらも当たり前のようにまた恋人つなぎをされた。


 互いの肩が触れ合い、二人の距離は近づいて。
 この時間がずっと続けばいいのにって、少しばかり夢を見ている自分がいた。



「なあ、この後まだ時間あるか?」
「……え」


 一瞬、帰りたくないという気持ちが伝わってしまったのかと思った。

 パッと顔を上げた私に、霧谷はまた切なげな笑顔を向けていた。


「行きたい場所があるんだ」


 切ない表情に、彼が初めて“行きたい”と口にした場所。

 単なる勘に過ぎないけれど、彼女との思い出のある場所ではないのかと思った。