愛恋のキス




 ただ、思わせぶりな態度をとる霧谷がカップルと言われたことに対してそれ以上触れることはなく、二人の物理的な距離も詰められることはなかった。

 結局私が霧谷から離れ、違う猫に意識を持っていくことにした。


 わかっているけれど、胸が苦しくなって。
 自覚したくないけれど、霧谷を好きだという感情を抱いてしまう自分がいて。

 一生、嫌いなままでよかったのに。
 そうすれば、こんな余計な感情を抱かずに済んだ。


 霧谷の言葉や行動、表情一つで感情が大きく左右される。


「次はハリネズミだっけ?」
「そう!」


 せっかくのデートだから心から楽しみたい。その気持ちはあるけれど、どうしても霧谷には忘れられない人がいるのだと考えてしまう。