「あそこのカップル見て」
「幸せそうだね〜」
猫に夢中で霧谷との距離感が麻痺していたのだろう、同じく猫カフェに来ていたお客さんが私たちを見ながらヒソヒソと話していたけれど、その内容がガッツリと聞こえてきた。
「カップルって、俺たちのことかな?」
今のところ、男女で来ているのは私たちしかいない。だから多分、ほぼ100%の確率で私たちのことを言っているのだろうけれど……カップルの響きに頬が緩みそうになるのを必死で堪えた。
「幸せそうだって。まあ事実だけどな」
「……え」
「藍原ちゃんの幸せそうな顔見てると、こっちまで幸せな気分になれる」
それは本心だろうか。
本心だといいなと素直に願ってしまった。
いつの間にか、知らない間に、どんどん霧谷の存在が私の心を占めていく。



