「ほら、見てみ。藍原ちゃんがすごい顔をしてお前を見てるぞー」
「みゃー」
すごい顔ってどんな顔だといつもの私なら突っ込んでいるだろうけれど、今はそんな気分になるわけがなかった。
霧谷の言葉に続けて猫が返事をするように鳴き、可愛くて悶えそうになる。
「ほら、お前を抱きたいんだって。どうする?」
霧谷は私の前に猫を差し出してきて、食いつくようにしてつい手を伸ばしてしまう。
くりくりした目を私に向けながら、猫は再び「みゃー」も鳴いた。可愛すぎて泣きそうになるほど感情が昂ってしまう。
「よしよし、いい子だね、可愛いね。可愛すぎておかしくなりそう……」
この気持ちに共感してほしくて、つい顔を上げて猫を両手で抱えている霧谷を見れば、想像以上に互いの距離が近くて驚いた。
とはいえ間には猫がいるのだけれど、一瞬可愛い猫の存在を忘れてしまい、彼に意識がいってしまう。



