愛恋のキス




「あっ、いま絶対に想像しただろ?」
「そんなわけないでしょ!本当に最悪……」


 慌てて周りを見渡したけれど、お客さんはみんな猫に夢中で助かった。

 聞かれていたら気まずい空間になれかねない。
 その点は霧谷も猫に夢中になってほしいところ。標的を私にされては困る。


 猫に逃げられてしまい、また寄ってきてくれないだろうかと思っていると、先ほどとは違う猫が霧谷のほうに近づいてきた。


「お、俺に懐いてくれるのか?」
「みゃー」


 頭が痒いのか、それとも懐いているのかわからなかったけれど、霧谷の足元に擦り付ける灰色の猫。

 それを見ているだけでも温かい気持ちになる。動物って本当に最高の癒しを与えてくれる素晴らしい生き物だと思った。