たとえば目の前にとんでもなく可愛くて、最高の癒しとなる存在がいたとしたら、その欲を抑え切れる方法を私は知らない。


「ふわふわ、もこもこ……か、可愛い……!」
「藍原ちゃん、語彙力どこいったんだ?」

「だって見て、かわ……かわ」


 私の腕の中にすっぽりと収まっているのはふわふわな毛が特徴的なペルシャの猫。

 私が触っても抱いても全く暴れる様子はなく、むしろほとんど動かずに大人しかった。


 人間慣れしているのだろう、かなり上機嫌に見えた。


「ここは楽園……?」
「ふはっ、言い過ぎ。まだ一軒目なのにこの様子で大丈夫か?」

「大丈夫!今日はたくさん動物に癒される日なの」


 霧谷の家で集まってから1週間以上が経った今日、ようやく私と彼はデートをすることができた。