愛恋のキス




「それでカラオケ店の前に数人の男子生徒が居座ってるって情報が入って来てみれば、藍原さんたちが絡まれてたってわけ」


 どこか上機嫌に見えるのは気のせいだろうか。助けられたことに変わりはないけれど、何だか不服だ。


「まあ絡まれてたのが他の女子でも助けてたけどな。何ならそれを機に仲良くなって……」


 わかっていた、そんなこと分かっていたけれど。それをあえて口にする彼に苛立ってしまう。
 余計な一言に毎回私をイライラさせているのだ。


「どうせならもう一人に助けられたかったな」

 チラッと澪の方に視線を向けると、先程ドリンクバーの前にいた男子にお礼を言っている最中だった。確か春哉という名前だった気がする。


「もしかして藍原さん、ああいう誠実な男がタイプなんだ?」

「あんたよりずっと良いと思うけど」
「春哉は天然タラシだからやめといたほうが身のためだ」


 タイプだとか好きになったとか、一言も口にした覚えはないけれど。勝手に勘違いしないでほしい。