愛恋のキス



「あと意外とすぐ照れる」
「……っ、早くケーキの準備するよ!」


 この家に沙良と西山くんがいるからと油断していた。霧谷の指が私の頬を撫でてきて、途端に頬が熱を帯びる。

 ほら、と言って笑ってくる彼がどこか色っぽくて、慌てて話を変えた。


「あっ、ケーキがきた〜!二人とも準備ありが……って、どうしたの汐音。顔赤いけど」

「な、なんでもない」


 なんでもなくはないけれど。そうでも言っておかないと切り替えられなくなる気がして。

 沙良は何かを察したように一度笑ったけれど、すぐにケーキへと意識が向いたようで助かった。



 もう一度、元の場所に座った時、熱を帯びた頬を冷ますようにして手で仰ぐ。

 隣の霧谷に小さく笑われて腹が立ったけれど、あえて無視を貫くことにした。