愛恋のキス




 私たち3人が霧谷の家に向かう前、ケーキやジュースなどを買っていたものだ。


「こんなケーキやジュースを買ってきてもらって悪いな、気遣わせて」

「別に、私たちも食べるつもりだったし」
「ちなみに藍原ちゃんは何のケーキ?」

「私は新作のケーキ!」


 ケーキが並ぶショーケースを眺めた時、一目惚れした新作のケーキにしたのだ。

 正直、食べるのを楽しみにしていた。


「……ふっ」

 素直に答えただけなのに、なぜか霧谷に笑われてしまう。何がおかしかったのだろうと思えば、突然彼の手が私の頭に置かれた。


「藍原ちゃんって意外と表情豊かだよな」
「……馬鹿にしてる?」

「いや、可愛いなと思って。急に幼い子共みたいな顔するから心臓に悪い」


 幼い子供って、馬鹿にされている気がするのだけれど……霧谷がまた、目を細めてどこか愛おしそうな顔をしてくるから何も言えなくなる。