愛恋のキス




 隣に座る霧谷を見れば、珍しく参考書や教科書を開いて勉強していた。

 それも間違いでなければ、3年の時に習う範囲の部分を開いているような……彼は一体どれだけ先まで進むつもりなのだろう。


 さすがに私でもそれほど先まで予習などできるわけがない。

 まず一人で理解すること自体が無理である。先生の授業を受けない限り、教科書の文章だけで理解するのは困難である。


「少し休憩するか」
「やったー!じゃあ私たちが買ってきたケーキ食べようよ!」


 沙良が疲れたとアピールしたことで、霧谷も教科書を閉じて休憩という言葉を口にした。

 途端に沙良が嬉しい声へと変わり、無邪気な笑顔を浮かべている。


「藍原ちゃん、ちょっと手伝ってくれ」
「えっ、いいけど……」

 なぜか霧谷に私が指名され、腰を上げる。二人でキッチンへと向かい、冷蔵庫に入れていたケーキの入った箱とジュースを霧谷は取り出した。