愛恋のキス




「集中したいから邪魔しないでね」
「邪魔なんかするわけないだろ」

 嘘つけ、と反射的に返しそうになった。
 霧谷のことだ、何かと私の邪魔をしてくるに違いない。



 そう思って最初は警戒していたけれど、今日はいつもより大人しかった霧谷。

 彼の言う通りいくつか難しい問題があり、その部分も丁寧に説明してくれた。


 沙良が『汐音がわからないなら私もわからない」と言い、続いて西山くんも一緒に霧谷の説明を聞いていた。

 二人とも、霧谷の説明がわかりやすかったようで、説明が終わる前に「なるほど」と理解していた。

 やっぱり霧谷の教え方が上手いということが大きいだろう。


「んー、疲れたぁ」

 それから結構な時間が経ち、沙良が集中力を切らして伸びをしていた。

 宿題と思った以上に進み、他に人がいるほうが霧谷もおとなしいのかな……と思ったり。