愛恋のキス




「ねぇ、近っ……」


 くすぐったさから逃げるように霧谷を見たのが間違いだった。

 いつもよりずっとずっと互いの距離が近く、思わず息を止めてしまう。



 霧谷も驚いたようで、目を見張って数秒間、互いに見つめ合っていた。


 かなり、やばい状況な気がする。
 頭ではわかっているけれど動けない。静かな図書室が、余計に怪しい雰囲気を醸し出していた。

 ふと霧谷が手を伸ばし、私の横髪に触れる。


 以前にキスされたことを思い出した私は、胸がドキドキとうるさく鳴り始めた。


「……どうして顔が赤くなんの?」

 静かな声音。
 からかうつもりはないようで、落ち着いた声で私に尋ねてくる。