愛恋のキス



「じゃあなおさら霧谷がここにいる必要ないでしょ」

「藍原ちゃんと一緒にいたいって言うのと、藍原ちゃんが問題解いてるところ見てたら見直しにもなると思って」


 前者が本音なのか、それとも後者が本音なのかわからなかったけれど、とりあえず私を利用するなと言ってやりたい。


「問題くらい自分で解きなさいよ」
「いや、同じ問題だと集中できない」

「どれだけわがままなの……」
「けど藍原ちゃんに教えてあげられるし、一石二鳥だな」


 満面の笑みを浮かべてくるけれど、全然一石二鳥ではない。先程から邪魔されてばかりの気がする。


「それよりここだよな。文章ではかなり難しいことを聞いているように見えるけど……」


 意外と、という言葉は失礼かもしれないけれど。

 思ったより真面目に教えてくれる霧谷。ふと彼に視線を向ければ、先程の緩い表情は何処へやら、真剣な顔つきで説明してくれていた。