愛恋のキス




 余計なことは考えないようにして、最初は集中できていたのだけれど……。


 難しい問題を解いていると、どうしても躓いてしまう時があるものだ。

 つまりわからない問題にぶつかってしまったというわけで。


 まずは教科書や参考書を見てヒントを得る、それでもわからなければ先生に聞くという選択をいつもはとっていた。

 その順序に則って教科書を開いた時だった。


「ここがわかんねーの?」
「ひゃっ……!?」

 思わずうわずった声が漏れてしまう。
 突然霧谷が私に顔を近づけて尋ねてきたのだから、驚いて仕方がない。


「な、なに……」

 慌てて声を潜めるけれど、霧谷に笑われてしまって恥ずかしい。


「そこ、難しいよな。俺も解いてて思ってた」
「え、もうやってたの?」

「当たり前だろ?もう今回のテスト範囲は全部やって完璧だし」


 なるほど、これで今のような余裕が……って、どうして完璧であるのなら私を勉強に誘ったのだ。