愛恋のキス




「藍原ちゃんのわからないところをいつでも教えられるように?」


 疑問符をつけてくるあたり怪しい。
 また何か企んでいそうで怖い。


 霧谷とやってきた図書室にはあまり人がおらず、静かな空気が流れていた。

 中には教科書を開いたまま寝ている人もいて、あまり大きな声は出せない。


 幸い、私や霧谷を気にする人がいなくて安心した。また変な噂でも流されたら困る。

 私たちは目立たないよう、一番隅の席を利用していたけれど、声を潜めないと他の利用者に聞こえてしまうことだろう。

 油断は禁物である。


 それにしても、目立たない席を選んだのは失敗だったかもしれない。

 必要以上に隣の男の距離が近い気がするのだ。誰も突っ込む人や気にする人がいないため、彼も距離をあけようとしない。