愛恋のキス






 勉強に集中できない。


「……霧谷も早く勉強しなよ。何のために来たの?」

 さっきから私のほうばかり見て、霧谷が持つペンが動くことはなかった。


「んー、藍原ちゃんの真剣な表情もいいなって見惚れてた」

「……っ」


 簡単に、人を乱すことを言う。
 きっと霧谷は私の感情を弄び、反応を見て楽しんでいる。


「そもそも近い。もっと離れて。第一、どうして私の隣に座ったの?」


 集中できない理由の一つに、隣に座る霧谷との距離があまりにも近くて、そちらに意識がいってしまうことも挙げられた。


 肩が、腕が、足が油断すればすぐに触れ合ってしまう。そんな位置に彼は座っている。