愛恋のキス




「……嫌」

 私も少しは学習しなければ。
 怒り任せに動いては、損をするのは私だけである。


「猫カフェがいい」

 それならまだ負けても楽しめるはずだ。家なんて、何をされるかわからない。


「そんな言い方されると受け入れるしかないよなぁ……それだと俺は得しないのに」

「得って?」
「藍原ちゃんに手を出す権……なんてな」

「……帰る」
「冗談だって冗談」


 こいつは。
 本当に冗談がすぎる。


「猫カフェな、いいところ探しとくから」
「……それで負けたら探し損だけどね」

「んー、でも藍原ちゃんなら行くって言いそう。猫の誘惑に負けて」

「うっ……」


 それは否定できない。可愛い猫の写真を前に、果たして断ることができるだろうか。

 ただ今は勝ち誇ったように笑う霧谷に対して、全力で否定することにした。