愛恋のキス




「まあ今日は無理でも、後日俺の家に来ればいい話か」
「行くわけないでしょ」

「今度のテストで俺が勝てばデートって約束だろ?だから家でデートにすればいいんだよ」

「……は」


 そんな約束をした覚えはない。


 ぼんやりと今度のテスト終わりに猫カフェに行くだとか、次こそは負けないだとか。

 そのような会話をした記憶があるような、ないような……まさか本気にされていたとは思わなかった。


「約束はしてない」

「じゃあ今から約束しよーぜ。藍原ちゃんが勝ったら、俺は謝るんだよな」


 本人は全く負ける気がないようで、笑顔でそう話してきた。

 かなりムカつく、こんな男相手に頭で勝てないなんて。


「それでいいよな?」


 カチンときて、勢いで受け入れそうになったけれど、ふと冷静になって考える。

 正直負けたくはないし負けるつもりはない。けれど今のところ全敗だ。


 そのため負ける場合も考え、家デートというのは避けておいたほうがいいのかもしれない。