愛恋のキス




 私に気づいて走ってきてくれたのだろうか。
 もしそうだとしたら……なんて、心のどこかで喜びに近い感情を抱く自分がいた。

 本当に単純な女。
 先程の女の先輩たちじゃなくて、私を選んできてくれたと思うと、その感情は増幅していく。


「女の先輩たちはいいの?」
「ああ、あの人たちは急に話しかけてきて……」

「遊ぼうって誘われてたね。それなのに私と図書室で勉強なんてしていいの?」


 無意識のうちにトゲのある言い方になってしまう。わかっていたけれど、どうしても制御できない。


「藍原ちゃんとの時間のほうがずっと大事だから。それに……いや、何でもない」


 後半は少し濁されてしまったけれど、私のほうが大事という言葉はズルい。