「もしかしてまだ怒ってんの?」
「怒ってるに決まって」
「“まだ”ってどういうこと?やっぱり二人、何かあったよね」
すっかり忘れていた、とは言わないけれど。私のすぐ隣の席に座っていた沙良に、今の会話を聞かれて怪しまれてしまう。
「何もなかった!」
「嘘だ。瑞樹は学校に来るようになって余計に汐音に絡むようになったし、汐音はずっと怒ってるし。この間、家に行った時に何があったの?もしかして二人は付き合っ」
「絶対にないから!霧谷と付き合うなんてあり得ない!」
あんなにも平気でキスできるような軽い男と付き合うなんてあり得ない。
忘れられない人がいると言いながら、あんなことして……もしかして忘れようとして私にキスをし、利用した?



