愛恋のキス




 最悪だ、まさか学外でも会うなんて何たる不運。
 急いで回れ右をして部屋へ直行しようとしたが、諦めの悪い相手が何と私の肩に手を置いて隣にやってきた。


「あからさまに避けられると俺だって辛いんだけどなぁ」

「……どなたですか」


 咄嗟に肩に置かれた手を振り払い、全力で嫌なアピールをする。

 けれど霧谷はにっこりと爽やかな笑みを浮かべ、さらに言葉を並べてきた。


「今日友達になっただろ俺たち」
「存じ上げません」

「そうだ、これから一緒に歌わない?藍原さんのとこに行っていい?」

「……消えて」


 はっ、ダメだダメ。ここは平和に終わらせるのが一番だというのに。