愛恋のキス




 嫌がることはしないってことはつまり、手を出さないと同じ意味合いだと思って当然だ。


「だから嫌なら本気で抵抗すればいいよ。助けて襲われるとでも叫んだら、近隣に住む人がきっと通報してくれる」

「そ、んなの……」


 ズルいのではないか。警察沙汰になれば、霧谷自身タダでは済まない。

 それに私だって……そこまで大ごとにしたいなど思うわけがない。


「……騙したな」
「んー?何のことだ?」

「最低……」


 絶対にわかっていてやっている。
 満足気に笑う霧谷の表情が、それを証明していた。


「なんか、このまま帰すのは惜しいなと思って」

 頬に添えられた手が、ゆっくり下へとおりていく。親指が唇に触れ、形に沿うようにしてなぞられた。


「……っ」


 唇から伝わる感触が恥ずかしくて、徐々に体温が上昇するのが自分でもわかる。

 少しずつ鼓動も速まり、かなり危険な状況に追い込まれているのだと理解できた。