「なら駅までな」
「だから大丈夫だって……」
「よく知らない夜道を藍原ちゃん一人で歩かせるのは危ないだろ?」
ここにきて急に女子扱い。
行きに通ってきた道を戻るだけなのだ、何も危なくはない。
「道も覚えてるし心配無用だから」
「心配だよ。藍原ちゃんが男に絡まれたらどうしようって」
「あんたは私の保護者か。別に無視して逃げればいいでしょ」
「でも藍原ちゃん、強引に迫られたら弱いからなぁ。こんな風に腕掴まられたら、藍原ちゃん逃げられる?」
霧谷は私の腕を掴み、首を傾げてきた。まるで試すような口調に腹が立ち、無理矢理話そうとするけれどピクリともしない。
悔しい。霧谷に力では全く敵わないことが。
この掴まれた手を無理矢理振り払うことすらできないなんて。
これが男女の差なのだと思い知らされる。



