愛恋のキス




「ご褒美はそうだなぁ……」
「考えてなかったのに言ってたの?」

「いや、本当は藍原ちゃんからのキスとか裸エプロ」
「嫌い、無理、最低」

「ほら、絶対に怒らせるから違う案を考えてたのに」


 だとしても普通そのようなことを考えるだろうか。本当に軽い人。

 霧谷はもう経験済みかもしれないけれど、私はキスすらしたことがない人間なのだ。


「じゃあもう本気で帰るから」


 弱々しい霧谷も反応に困るけれど、いつもの霧谷だと腹が立って仕方がない。

 もう相手にするのはやめようと思い立ち上がる。すると私に続いて霧谷も立ち上がった。


「待って、もう遅いし家まで送ってく」
「平気だから」

「もしかして怒ってんの?」
「怒ってなくても断ってる」


 いくら沙良たちに言われたからとはいえ、勝手にここまで来たのに、わざわざ送ってもらうのは申し訳ない。