愛恋のキス




「……やっぱり帰る」
「俺の家にいてくれんだろ?帰んないで」


 なら変なこと言わないでほしい。

 ドキドキさせて、期待させて……もし、その先に行ってしまっても苦しさしか残っていないのだから。


 私には霧谷を救ってあげることはできない。きっと、霧谷が忘れられない彼女しか……。


「……っ」

 バカみたい。その先なんて絶対にあり得ないのに。私が霧谷を……好き、になるなんて。


「藍原ちゃん?」
「な、何でもない……」

「じゃあご飯の材料でも買いに行くか」
「えっ、家にあるものでいいのに」

「そろそろ買い物行かないとなって思ってたところだし」
「……わかった」


 気を遣わせたのかと思ったけれど、もともと買い物が必要だったようだ。

 私も買い物についていくため、霧谷が外に出る準備を終えるまで部屋の隅に立ちながら待っていた。