愛恋のキス




「まあ、それなりに」

「じゃあ証明してみせてよ、ちょうどお腹空いたんだよね。私も手伝うし」


 もう過去の話は終わりにして、何か霧谷の気を紛らわせられないだろうかと考えた時、以前家事の話をしていたのを思い出した。

 あの時は霧谷の家に来ることはないと思っていたけれど、実際にこうして来ているのだ。


 以前の話を持ち出すのもどうかと思うし、仮にも客人のくせにご飯を出せって言うのは失礼かと思ったけれど、気まずい空気が流れるよりずっと良いと思った。


「……ふはっ」


 霧谷はどう反応するのかと思っていると、突然吹き出した。


「何、急に笑って……」

 てっきり図太いやつだとか思われると予想していたため、正直驚いた。


「好きだなぁ」

 目を細めて笑う彼に、再び胸がドキッと高鳴る。先程まで弱々しい姿を見せていたくせに、私が乱されている気がする。