愛恋のキス




 霧谷は相変わらず切なそうな表情を浮かべていた。私まで切なくなるような、胸がぎゅっと締めつけられて苦しくなる。


「ごめんな、こんな暗い話して。藍原ちゃんには関係のないことなのに」


 関係がないと、まるで突き放されたような気分に陥る。少し不服だったけれど、今の私は霧谷にとって所詮その程度の人間なのだ。

 彼のそばにいて話を聞いてあげることはできるけれど、楽にしてあげることはできない。


「別に、話を聞くぐらいなら」
「……藍原ちゃんって優しいな。こんな俺に対しても」

「特に優しくしてるつもりはないけど」

「こうやって俺の話に耳を傾けてくれてるし、抱きしめても抵抗しないしさ」


 私の頭を撫でて、ふっと微笑んだ霧谷。
 その微笑みは自然な気がして、どこか安心する自分がいた。