「いつも藍原ちゃんの存在が胸に刺さるんだよな」
「刺さる……?」
「そう。藍原ちゃんの言葉とか行動とか、一つ一つの表情だっていろんな意味で胸に刺さる」
それは良い意味として受け取って良いのだろうか。霧谷に抱きしめられているため、表情が見えなくて声だけでは感情を読むことができない。
「だから藍原ちゃんといた時は彼女のことを思い浮かぶことはなかったんだ。この間のデートまでは」
「……っ」
やっぱりデートの日を境に、霧谷が変わってしまったのだ。
「デート中にその彼女を思い出して、忘れられることはないし忘れたらダメなんだって再確認した。それなのに今の俺の頭には、藍原ちゃんの存在がかなり大きく占めてる」
ようやく抱きしめる力が緩められ、ゆっくりと顔を上げる。



