愛恋のキス




 彼女は限界に達するまで霧谷に助けを求めようとせず、迷惑をかけないように隠していたのだろう。


 彼女も霧谷のように今もまだ苦しんでいるかもしれない。自分の言葉で霧谷を傷つけたと。

 こればかりは二人が話でもしない限り、私にはどうしてあげることもできない。


「本当に最低だよなぁ……傷ついて苦しんでいたのは彼女だっていうのに、俺がこんな風に引きずってるなんてあまりにも都合が良すぎる」


 そんなことはない。
 ずっと過去に囚われて、縛られて。十分霧谷も苦しんできた。相応の苦しみを背負っていた。

 楽にしてあげられるのなら……いや、その苦しみから解放させてあげられるのはその彼女だけだろう。


「会って話さないの?」

 私ができるのは、二人に会ってもらうよう諭すことぐらいだ。それ以上は何もできない。