せめて沙良がいてくれたら良かったのだけれど……二人はやっぱり気まずい。
「一人でいると、藍原ちゃんのこともよく思い浮かぶんだよな」
「……え」
何か会話をするべきか、それとも黙って隣に座っておくべきか。
悩んでいると、霧谷が先に口を開いた。
私“も”というのは少し気になるけれど、私のことを思い浮かべていたなんて何だかソワソワする。
「初めて見た時の藍原ちゃんも印象強かったなぁ」
「初めてって?」
「入学式の日。藍原ちゃんが新入生の挨拶に立ってただろ」
ああ、その時のことか。
入学式の日に、私は新入生代表として舞台に登壇し、挨拶文を読み上げた。
首席合格の人が挨拶文を読むと思っていた私は、一番で合格できたのだと喜んでいたけれど、今ならわかる。



