愛恋のキス




「悪い、テーブルの上が散らかってて」
「あ、いや……」


 私の視線の先がテーブルにあると気づいた霧谷は、そこを片付け始めた。


「家で勉強してるんだね」
「ああ、こう見えてサボってるわけじゃないんだぞ」

「この範囲、結構先だよね」

「そうそう、家だと自分のペースで進められるから楽なんだよ」


 素行の悪いと思っていた彼は、意外と勉強熱心のようだった。

 学校では授業中に寝たりサボったりしているけれど、家でそれをカバーできるほど勉強しているらしい。


「だから学校に来ないの?」

「あー、学校に行く気が出ないんだよな。家のほうが集中できる」

「行く気がないだけ?」

「……あっ、まず藍原ちゃんに飲み物出さないとな。ジュースやお菓子でもあったら良かったんだけど……そうだ、今から買いに行ってこようか?」


 あからさまに話を変えられ、ムッとしてしまう。