愛恋のキス




『えっ、藍原ちゃん……!?』


 霧谷は私と気づくや否や、すぐにドアを開けて姿を現した。

 明らかに私を見て驚いており、少しの間固まっていた。



「ちゃんと食べてるの?」


 見た目に大きな変化はないけれど、3日も家にいてちゃんと毎食ご飯を食べているのかと不安になる。

 そのため、私はゼリーやヨーグルトなどの簡単に食べられるものを買ってきていた。


 未だに固まる霧谷に食べ物の入った袋を渡せば、反射的に受け取った彼がようやく反応を示した。


「いや、そもそも藍原ちゃんがなんでここに?」

「沙良と西山くんに様子を見にきてくれって言われたから来ただけ」

「あー……あいつらか。ごめんな、わざわざ……って、なんかお見舞いに来てくれたみたいだな。病人に渡すような食べ物ばっか」

「なっ、ここにきて文句言うの!?」
「いや、嬉しい。ありがとな」


 久しぶりにこんな近くで霧谷の笑顔を見た気がする。それも自然な笑み。

 何だかここ最近の彼の笑顔はどこか偽物っぽく見えていたけれど、間違いではなかったようだ。