愛恋のキス




「それも違うんだなぁ……」
「じゃあどうしてため息なんか吐いてるの」

「藍原ちゃんが可愛すぎて」
「バカ言わないでよ。可愛いのは動物たちでしょ」


 どこを見て私を可愛いと思ったのだ。けれど今は動物に癒されて上機嫌のため、霧谷の言葉にも全くイライラしない。


「んー、自覚なしか」
「それよりお腹すいたから、ご飯食べに行こうよ」

「……うん、まあいいか」


 霧谷は苦笑したかと思うと、突然私の手を握ってきた。あまりに急な出来事でびっくりした私は手を離そうとしたけれど、力が強くて振り払えない。


「ちょっ……なに手を繋いで」
「デートってことはこれも含まれるだろ?」

「含まれるとか聞いてない!」
「なら今決めたことにする」

「それはズルいでしょ!」
「藍原ちゃんは今、何が食べたい気分?」


 私の話を完全にスルーして質問を投げかけてくる霧谷。