愛恋のキス



 霧谷にどこに行きたいかと聞かれ、できるだけ人が多くて安全な場所を選びたかった私は、動物園にしたのである。


 そこだと屋外だし、人も多いし2人きりになるというシチュエーションにはならないだろう。

 宿泊行事の時みたいに二人きりになれば何をされるかわからない。


 特に動物園に抵抗はなかったし、普段からあまり行かないため、迷わずここに決めたのである。


「女らしくないって言いたいの?」

「あー、そんな卑屈になるなよ。俺は藍原ちゃんが行きたいところならどこでもいいし」


 本当に霧谷は女子の扱いに慣れている。ただこれで私の機嫌が直るとは思わないでほしい。


「それならわざわざ口にする必要ないでしょ」
「まあまあ、そんな怒んないで」


 相変わらず軽い口調で話し、反省した素振りを見せない霧谷。