「わー、俺と春哉の差がやばいな……」
「これが今の瑞樹と春哉の差だね」


 落ち込んだフリをする霧谷を慰める沙良。

 差がすごいって言うけれど、そんなの当たり前じゃないか。紳士的な西山くんと違って、霧谷は私を馬鹿にして楽しむような人間なのだから。


「西山くん、ここの問題わかったりする?」
「ああ、ここはね……」


 一方で私の左に座る澪は、向かいに座る西山くんにどんどん話しかけている。

 もう目がハートマークになる勢いでメロメロだ。西山くんも澪に怯むことなく、爽やかな笑顔を浮かべながら対応している。


 まさにファンに神対応を見せる有名人のようだ。きっと西山くんは騒がれることに慣れているのだろうな。


「どうせなら西山くんがよかったな……」
「あ、それ言っちゃう?」


 前を向けば霧谷がいるなど、何という罰ゲームだ。あと先程から私に視線を向けては何かと絡んでくるのだ、勉強に集中できない。