最初は沙良を疑ってしまったけれど、霧谷の隣に立つ堀田くんが私を見るなり不自然に目を逸らし、バツが悪い顔をしていたため、恐らく彼が私たちが教室で勉強しているのを知って霧谷に話したのだろうと思った。


 霧谷は満面の笑みで『俺たちも混ぜて』と言い、私は嫌だと答えたけれど、彼が諦めるはずがなかった。

 さらに霧谷が「春哉も呼ぼう」と口にした途端、澪が食いついてきたのである。沙良も反対する様子はなく、結局一緒に勉強することになったのだけれど……あえて私の前に座る霧谷に対して悪意しか感じられない。


「ごめんね藍原さん。俺まで邪魔する形になっちゃって」

「西山くんは何も悪くないよ……!?むしろ付き合わせてごめんね!」


 霧谷が余計なことをするから、西山くんに気を遣わせているではないか。