小さな勇気

翌日。

私は現実に戻された。


覚悟はしていたけれど、私の夢のような時間は消えていた。

私にとって、ヘアショーは憧れで最高に輝ける場所だった。

スタイリストさんがかけてくれた魔法は、解けてしまったのだろうか。


騒がしい教室の中。

私はひとりで席に座っている。


何も、変わっていない。

『変われた』と思ったのは、幻想だったのだろうか。

確かに見た目は、大きく変わったかもしれない。

だけど、中身は変わらなかった。


それはそうかもしれない。


私は……。

変わる努力なんて、ひとつもしてこなかったのだから。

今から、努力しても遅いのかな。

私は、短くなった髪の毛に触れる。


……遅くない。

私は席を立って、職員室へと駆け出した。



遅くないよ。

変わろうと、勇気を出すんだ。