顔を合わせてしまったらどうしようと……。


もちろん、謝りたい。仲直りしたい。


けれど、それをもし拒否されてしまったらと考えると怖くてたまらない。


あのときの後悔の表情を、親友の人となりを信じているはずなのに、疑ってしまう私は最悪で。


「……」


「聞いてくれて、ありがとう。――不思議。私、いつも考えまとめるの遅くて口下手で、こんなに話せるなんて凄い。うん、でもこれは、私が凄いわけじゃなくって、相手のおかげで。大野くんが待ってくれる寛大な人だから。ありがとう」


「佐伯さんは、何もおかしなとこなんてないよ。色々気にしてることだって、それは個体差なだけで、劣るわけでもない」


「そう、かな」


「仲直り、早く出来るといいな」


「ありがとう。いい加減電車元に戻してみる。……ちょっとまだ震えるけど」


いつの間にか山手線はずいぶんと進んでいて、もうすぐ乗り込んだ大学近くの駅に戻ってきてしまうようだった。


「っ、ごめんっ。一周してるなんてっ」


「いいよ。話止めたくなかったし」


ここで、そのままこの電車に座り続けることだって可能だ。けれど、そうしてしまえば、何も変えられないとも。