雨は君に降り注ぐ


 試合開始のブザーが鳴った。

 バスケットボールが、宙に舞う。

 選手たちは、そのボールを必死に追いかけ、奪い、守り、投げる。

 体育館に響き渡るバッシュのこすれる音。
 バスケットボールがゴールをかすめる音。
 パス回しをする選手の掛け声。

 美しい。

 そう思った。

 皆輝いている。

 そこに広がる景色は、その体育館の光景は、言葉では言い表せないほど、

 キレイだった。



 第3クオーター終了のブザーが鳴る。
 残りは、第4クオーターの10分間のみ。

 現在、56対48。

 青葉が、8点負けている。

 接戦にも見えるが、実はそうではない。
 嵐が丘は、私が思っていたよりも、ずっと強かった。

 やはり体格差の影響が大きいのか、シューターである工藤くんの投げたボールは、ことごとく、相手にブロックされた。
 涼介先輩のドリブルも、すぐに相手にとられる。

 ダメだ。
 相手になっていない。

 この中で、48点を入れることができたのは、奇跡的なことなんじゃないか。
 こんな、こんな強敵相手に、あと10分で8点取り返すなんて、

 不可能だ。