雨は君に降り注ぐ


「つまり、ストーカーはこの大学の学生、もしくは教授やその他関係者で、吉岡さんに過剰な好意を寄せている人…ってことになるのかな。」

 私は静かにうなずいた。

「でも、そんな人たくさんいそうだね…。吉岡さん可愛いから、好意を寄せる人なんて数えられないほどだろうし、この時点での犯人の特定は難しそうだね…。」

 そういうところだ。
 涼介先輩がモテる理由は、そういうところにあるんだ。

 そんなさらっと『可愛い』と言われたら、自意識過剰になっちゃうじゃないですか。

「でも私、そのストーカーのことを、知っている気がするんです。」

 涼介先輩が、目を丸くする。

「実はこの前、その人と1度話したことがあって。」
「えっ?!」
「あ、そのストーカーの方から、一方的に電話されただけなんですけど。」

 涼介先輩は、怪訝そうな目で私を見つめる。

「吉岡さんの携帯の番号を、そいつは知ってるって、こと…?」

 私は、力なくうなずいた。

「そうみたいなんです…。それでその、その男と話した時、相手は機械みたいな声に変えて喋っていたんですけど、でも、その口調とか声の雰囲気を、私は知っている気がするんです。」

 そこで一旦息継ぎをする。

「うまく言えないんですけど…その口調を、私はよく知っていて、多分その人は私の知っている人なんですけど、でもそれが誰だったか…思い出せそうで思い出せなくて…。」

 涼介先輩が、優しく微笑む。

「要するに、そのストーカーは、この大学の人で、男で、吉岡さんの知り合いの可能性が高いってこと、だね?」

 私はもう1度うなずいた。

「でも、知り合いかどうかは分からないです。あくまで私の直感なんで…。」