雨は君に降り注ぐ


 しばらくしてカフェにやって来たのは、長身のスレンダーな美少女だった。
 彼女は、奥の席に座る美波さんを発見すると、長い髪をわずかに揺らしながら駆け寄ってきた。

 美波さんの紹介によると、彼女の名は入野(いりの)(はるか)
 当然だが、美波さんと同じ大学2年生だそうだ。

「え~っと、結希さん、だっけ?」
「は、はい!」

 遥さんの持つ雰囲気は、どことなく理子に似ていた。

「瑞葵のことだよね?具体的に、何を知りたいの?」
「えと、あの、瑞葵さん、ストーカー被害にあっていたという話を聞いたことがあって、お2人はそのことについて何か相談されたりとかしませんでしたか?」

 我ながら、だいぶド直球な質問だ。

 美波さんも遥さんも、生前の瑞葵さんとは親しかったわけだから、瑞葵さんが亡くなられた時に受けたショックは、相当なものだったと予想できる。

 今、私の投げかけている質問で、2人は、その当時の嫌な記憶を思い起こしてしまうかもしれない。
 2人の気分を害してしまうかもしれない。

「スト~カ~の話ね、聞いてたわよ。」
「瑞葵、だいぶ悩んでいるみたいでしたから。」

 しかし、美波さんも遥さんも、嫌がるような態度は見せなかった。
 それどころか、真剣に質問に答えてくれた。

「あのでは、瑞葵さんが亡くなる直前や前日に、彼女の様子がいつもと違っていたりだとか、何か違和感を感じたことはないですか?」

 先に口を開いたのは、美波さんだった。

「あの頃の瑞葵は、その、ストーカーのせいで結構病んでて。そういうところも一ノ瀬くんが支えていたみたいですけど…。」

 私は、重ねて質問をする。

「具体的にどんな被害にあっていたとか、本人から聞いていたりしますか?」
「詳しいことは分からないんですけど、変な手紙を送られたり、どこまでも追いかけまわされたり、そんなところだと聞いています。」

 私と同じだ…。

 まあ、ストーカーの手口なんて、どこも似たようなものだと思うが。
 それでも改めて、私は恐怖を感じた。