美波さんとの待ち合わせ場所のカフェに、約束時間の10分前に着いた。
まだ美波さんは来ていないようで、私は奥の席に座り、カフェラテを注文した。
ずいぶんとおしゃれな内装だ。
カフェ全体から、高級な雰囲気が漂っている。
さすがに、シャツにジーンズではまずかっただろうか…。
なんとも言えない気まずさを感じながらカフェラテを味わっていると、入り口のベルが軽快に鳴った。
視線をそちらへ動かすと、1人の少女が、ちょうど入店してきたところだった。
少女はしばらく視線をさまよわせていたが、やがて、奥の席の私を発見すると、迷うことなくこちらへ近づいてきた。
事前に写真を送ってもらっているので、お互い顔は分かっていた。
彼女が、日向美波だ。
美波さんは、私の対面の席に腰を下ろすと、軽く微笑んだ。
「すみません、お待たせしましたか?」
「い、いえ、そう、ですね…。」
言ってから後悔した。
ここはやはり、『待ってないよ』と言うのが正解だったのだろうか?
と、美波さんがクスリと笑った。
「正直な方なんですね。そういうところも、瑞葵にそっくりです。」
「え、ああ…。」
「結希さんの写真を見た時、すごいびっくりしました。瑞葵が生き返ったのかと…。」
そう言うと、美波さんは、少し声のトーンを落とした。
寂しがっているようにも、悲しんでいるようにも見えた。
「瑞葵のことで話が、あるんですよね?」
「あ、はい。いくつか質問をしても、かまわない、でしょうか…?」
恐る恐るそう訊ねると、美波さんはにっこりと笑った。
彼女の茶色く短い髪の毛先が、わずかに揺れる。
「私が答えられることなら、なんでも。」

