冷たい空気。
木枯らしが、足元をなでるように吹き抜けていく。
秋の終わり。
どことなく、寂しい雰囲気が漂う。
11月も半ばに入る、ある寒い朝。
私は、忙しなく出かける支度をしていた。
今日は、ある人に会いに行く。
涼介先輩と、図書館で瑞葵さんの話をした、その後。
私はまだ、瑞葵さんの自殺に納得できないでいた。
と同時に、『斉藤瑞葵』という人物に興味を抱いていた。
一ノ瀬先輩に愛されていた瑞葵さん。
彼女は一体どんな人だったのだろう。
私は数日後、涼介先輩に連絡をした。
『瑞葵さんのことをもっとよく知りたい、だから、雪立高校の卒業生で、瑞葵さんと仲が良かった人を紹介してはもらえないだろうか。』
確か、そんな感じのことを言ったはずだ。
おかしいとは思う。
瑞葵さんの実の兄に、瑞葵さんのことを知りたいから彼女の同級生を紹介してくれだなんて、どう考えてもおかしい。
同級生に聞くより、涼介先輩から聞けばいいのではないか。
しかし、涼介先輩と瑞葵さんは、あまり仲が良くなかったと聞いている。
涼介先輩は瑞葵さんのことを愛していた様子だったから、きっと、瑞葵さんが一方的に、涼介先輩のことを嫌っていたのだろう。
なぜ、嫌いだったのだろう。
涼介先輩は、私から見ても、さっぱりとしたイケメン、優しい人だ。
嫌う要素なんてあるだろうか。
…まあ、瑞葵さんが何をどう考えていたかなんて、私には知る由もないのだけれど。
涼介先輩は、快く、生前の瑞葵さんの『親友』の連絡先を教えてくれた。
ある程度の要件は伝えておいてくれた、という。
『親友』の名前は日向美波、現在大学2年生。
私はさっそく、彼女とコンタクトを取った。
『瑞葵さんのことについて聞きたいことがあるので、近々会うことはできないか。』
電話でそう訊ねると、彼女はすんなり了承してくれた。
そして、今に至る。
私はこれから、日向美波に会いに行く。

