「あのっ!…もう1つ、聞きたかったことがあるんですけどっ。」
呼び止めると、新川先輩は、不思議そうな顔をして振り返った。
「何?」
「その…、」
ずっと、引っかかっていたこと。
訊ねるのは、失礼な事なのかもしれない。
でも、このままモヤモヤし続けていくのは、絶対に嫌だ。
「あの、新川先輩、私に手紙を送ったりとかって…しました?」
「…してないけど?」
「じゃあ、私の住所を知ってたりとか、します?」
新川先輩は、困惑の表情を浮かべている。
嘘をついているとは、とうてい思えない。
「知らないわよ…?どうして?」
「いえっ、何でもないです…。すみません、時間とらせちゃって。」
新川先輩ではない、…なんとなく分かっていたことだ。
黒フードの人物。
新川先輩の視線が、それに似ていると思ったことが、何回かある。
なぜ似ていると思ったのか。
2人の視線に、共通していた感情。
悪意。
でも、2人は別人だ。
新川先輩の視線からは、黒フードの人物ほどの悪意は感じられない。
あくまで私の直感だけど。
「じゃあ、私行くわね。」
新川先輩は、軽く手を振って、去っていく。
私も、手を振って見送った。
あの夜、私を追いかけまわした黒フードの人物。
あれは一体、誰なんだろう。
あの視線は、確かに悪意の塊だった。
私、誰かに悪意を持たれるような事、したかな…?

