雨は君に降り注ぐ


 太陽がコンクリートを照らし、焼く。
 暑さは日に日に増していき、外に出ることがだんだんしんどくなる。

 当然だ。
 8月も、もう半ば。

 それにしても、夏になる前に、クーラーを買っておけばよかった。
 今からでも電気屋に向かえばよいのだが、1か月もしないうちに夏が終わることを考えると、買うだけもったいない気もする。

 今、私の部屋は、とにかく暑い。

 密閉された空間なので、暑さがこもり、蒸している。
 換気をしようと窓を開けても、外の暑さが入って来るので、話にならない。

 内も地獄、外も地獄。

 どうすれば、この暑さをしのげるのか…。

 と、私のスマホが、軽快に鳴った。
 メールの着信音だ。

 送り主は、理子だった。

『今からどこかコンビニで会わない?家が熱くて死にそ~。』

 私は思わず苦笑した。
 理子も、私と同じような状況にいるらしい。

『いいよ。大学近くのコンビニにしよっか?』
『うん。そうしてくれるとありがたい~。』

 理子は、青葉大学から程近い、いわゆる高級住宅街と言われるところで、春から1人暮らしをしているそうだ。

 そう、理子は、正真正銘のお嬢様だ。

 理子の実家は、その辺りでは有名な地主さんで、相当なお金持ちらしい。
 何不自由ない暮らしをしてきた理子だったが、彼女の言うところによると、

『息が詰まるのよね、あの家って。』

 かねてからそう感じていた理子は、青葉大学への進学をきっかけに、親離れを果たした……と言っても、仕送りはしてもらっているらしく、今だって、とんでもなく広い戸建てを借りて、そこで生活している。

 そういう事情は、私と少し似ているかもしれない…?