やっぱり、そうだった。
私の勘は、間違っていなかった。
嬉しいことのように聞こえるが、それは実に悲しい話だった。
これで、新川先輩が高井先輩をいじめているということが、ほぼ確定的になってしまった。
きっと、事実なんだろう。
理子は続ける。
「仁菜は、表では『いい子』を装っているけど、裏には『悪魔』の顔を持っている。だから誰も、野崎さんのいじめに気付けなかった。」
いつの間にか、理子は新川先輩のことも呼び捨てで呼んでいる。
理子が年上を呼び捨てにするときは、たいてい、その人に好意を持っている場合か、敵意を持っている場合だ。
今の場合は、後者だろう。
「仁菜は、バスケサークルの女子メンバーほとんどを、味方につけている。要するに、仁菜を敵に回すと、サークルの女子、全員からの攻撃を食らうってこと。」
それは初耳だ。
では、今、高井先輩は、サークル女子全員から、いじめを受けているってこと?
「でも私は、新川先輩の味方になった覚えはないよ?」
「それは、結希がまだ新入りだからよ。来年になれば、いいように声かけられるんじゃない?」
そんなものなのか…。
「とにかく、これで仁菜がクロってことは分かったから…次、どうする?」
そうだ、問題はこれからだ。
いじめの事実がはっきりして、次どうするか。
私が考え始めようとしたその時、頭上から、声が降ってきた。
「新川さんの話、してるんですかぁ?」

