結局、理子にすべて押し付けるような形になってしまった。

 どこからか、罪悪感がわいて出る。
 私にも何かできることがないか考えたが、特に何も思い浮かばない。

 そうこうしているうちに、月日は流れていく。
 時は止まることを知らず、一定のスピードで進んでいく。

 理子から連絡があったのは、8月に入ったばかりのことだった。

 大学はすでに夏休みに入っていたが、特に予定のない者や、家にいても暇を持て余してしまう者などは、大学に集まって暇をつぶしていた。

 バスケサークルは、夏休みの間も一応開いており、工藤くんや涼介先輩は、毎日欠かさず、練習に来ているようだ。
 夏休みだというのに、ご苦労な話である。

 と言う私も、夏休みは特に予定がなく、ほとんど毎日欠かさず体育館を訪れ、練習に汗水流しているのだが。

 理子も、毎日バスケサークルに顔をのぞかせ、工藤くんや涼介先輩のマネージメントに励んでいた。

 新川先輩と高井先輩も、毎日練習に来ていた。
 私は必然的に、その2人と一緒に練習をすることになるのだが、新川先輩にも高井先輩にも、不自然なところは見当たらなかった。

 やはり、私の思い込みだろうか。

 一ノ瀬先輩から聞いた噂も、噂は噂で、出まかせ、まるっきりの噓だったりするのだろうか。
 私が高井先輩のロッカーに見た光景も、もしかしたら幻覚だったんじゃないか。

 現に、新川先輩は今、高井先輩に、ドリブルについて優しく教えているではないか。

 すべては、私の勘違い。

 日を追うごとに、そう考えるようになっていた。
 私の中で、不安の種が芽をのぞかす。

 そんな中、理子からメールが来た。

『今から、会える?仁菜ちゃんと楓の件。』