「ねぇー、連絡しなよ、真理子。もう三日も休んでんだよ?」


その背中にしつこく訊ねる。


「だから、お前がきけって」

「なに照れてんのよ。男は強引くらいがいいのに」

「照れてんのはお前だろ」

「ついでに告ればいいじゃん」

「だから彼氏いるだろ。しかも年上、車持ち。俺なんか相手にされねーって」


去年建て替えたばかりの翔の家が視界に入る。

学校から十五分。


もう着く。


もうすぐ着いてしまう。



「つーか、まじでメールくらいしとけって。友達だろ?」


キッと音を立てて自転車が止まった。


「……うん」

「俺がするよりずっといいって。その方が嬉しいだろ」

「なにそれ。愛しちゃってんだね」

「ちゃかすなよ」