「じゃ、俺この後バイトだから帰るわ」
カラオケが終わってお店を出たら、高野くんがスマホで時間を確認してそう言った。
……あ、もう帰っちゃうんだ。
もう少し話したかったけど、バイトがあるなら邪魔しちゃダメだよね…。
でも。
「高野くん」
「ん?」
「いっぱい歌ってくれてありがとね。
今日は、楽しかったです」
今日来てくれて、
私と話してくれて、
すごく、楽しかったし、嬉しかった。
だからお礼だけは、言いたかった。
「堅苦しー。クソ真面目かよ。
ま、俺も楽しかったから、おあいこな」
高野くんはフッと笑ってから、「じゃあな」と言って帰っていった。
……やっぱり、ダメだな。
叶わないの、わかってるのに
高野くんが、好きだ。



